覚書き降り立った頃の思い出

ファーストジョブと初PT

FF11、と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、私の場合、やはりこの、プレイ中最も多く目にしたタイトル画面です。そう、ヴァナの様々な風景をゆっくりと上空から俯瞰してゆく、この画面です。

タイトル画面のBGMは、今では好きなものを選べるけれど、昔はインストールしてある拡張ディスクによって変化していました。ノーマルならこれ、ジラートならこれ、プロマシアなら、アトルガンなら…というふうに。
中でもいちばん好きだったのは、ヴァナディールマーチと、プロマシアの曲かなぁ。

 

Lv75時代のFF11、とくにプロマシア以前くらいまでは、ひとつのジョブを育てるだけでも各自精一杯という感じでした(拡張ディスクで多くの狩り場が設置され、狩りの効率が上がってきてからは、複数ジョブをやる人も珍しく無くなりました)。

とにかくレベリングには時間と労力が必要で、ぶっちゃけキツイ。当時はそれが当たり前だったこと、ヴァナ自体が「プレイヤーはゆっくりと強くなって、ゆっくりと活動できる世界を広げてゆく」構造をしていたから、とくに疑問も持たなかったけれど、レベリング自体がすでに立派なひとつのコンテンツでした。

ゆえに初期のヴァナでは「メインジョブはこれ」とたいていの人が早い段階で定め、集中してレベリングしていました。
私は、といえば、「白魔道士」がプレイ前から気になっていました。
タルタルを選んだのは、リアル等身とかけ離れていてかわいかったというのも勿論ですが、「いちばん魔道士に向いたパラメーターを所有する種族」だったから、というのもあります。

なぜ白魔道士?というのも、よく覚えていないのだけど、確か「辻レイズ」なるものに憧れていたんだったと思う。それから今でもそうなのだけれど、私にはいわゆるアタッカー志向が無い。
だから無意識のうちに、アタッカーの対極である白魔道士を選んでいたんだと思います。

 

ファーストキャラであるタルタルで、街を一通りうろうろして、なんとか少しずつ操作も覚えて。ソロで敵を殴ってみて、魔法を使ってみて、簡単なマクロを組んでみて……そんなふうに初歩的なことを、ソロで少しずつ遊びながら、当時の私は一つずつ覚えていきました。

白魔道士はLv11で「ケアル2」を覚えてから本格的にPTの戦力になれるのですが、ヴァナでは全体的にヒーラー不足。当時まだケアル2を覚えていないLvだったにも関わらず、サルタバルタでちまちまソロっていたら突然tellがきて、PTに誘われました。これが私の初PTでした。

誘ってきた相手がいる場所は、シャクラミの洞窟。当時の私はサルタバルタから出たことすらなく、シャクラミといえばサルタバルタを北に抜けてタロンギ大峡谷に出て、さらにそこも越えていった先にある洞窟です。
いやシャクラミどころか「マップでPTメンバーの所在地を確認する」という知識すら無く、わざわざサルタバルタまで迎えに来てくれたPTメンバーに地図についてを教わりながら、私はシャクラミまで誘導されていきました。ぶっちゃけ、何がなんだか分からないけれど迷惑をかけてはいけない、と必死でついていっただけで、自分がどこにいるのかも分かりませんでした。そこがシャクラミという場所だったことも、だいぶ後から理解したくらいです。

初PTでの初戦闘の衝撃も、未だに覚えています。
獲物はミミズ。テキストごとにフィルタをかけられる、という知識もなかったせいで、流れるログがまさに怒濤の如く。ソロでちまちま殴るだけの戦闘しか経験していなかった私は、「PT6名ぶんのログ+敵モンスターのログ」が流れるウィンドウに驚愕し茫然としてしまって、まさに棒立ち。ケアルひとつ出来ませんでした。
1回目の戦闘が終わった後に「何がなんだか分かりませんでした、すみません」と正直に謝りました。サポすらないソロっていた白魔道士なのですから、PTメンバー達も「こいつは初心者だな」と最初から分かっていたのでしょう。「HPが減ったらケアルしてくれればいいよ」と言われ、さらにログフィルタについて教わったり、PT中にレベルアップして「ケアル2」を覚えたりしながら、なんとか私は無事に初PTを終えました。

帰り道でも、私はPTメンバーに助けられました。
私以外はみんな三国近郊エリアなどかつて知ったるで、シャクラミをタロンギ側に出たところで解散となったのですが、私は現在地すら把握できず。繰り返しますが当時の私は「サルタバルタから一歩も外に出ていなかった」のですから、そりゃあ仕方ないというものです。
どうやってウィンダスに帰れば良いのかも分からず、途方にくれて立ち尽くしていると、PTメンバーだった一人がそれに気付いてくれました。
「ウィンまで帰るから、一緒にいこう」とPTに誘ってもらい、自動追尾のやり方もそこで教わりました。
正直ヴァナで関わったプレイヤー達の名前のほとんどがもううろ覚え、もしくはもう完全に忘れてしまっているのですが、このプレイヤーの名前は未だにしっかり覚えています。まさかその人がこのサイトを見るわけもないのですが、頭文字をとって「Sさん」とだけしておきます。

私はSさんに自動追尾で連れられ、Sさんがサポジョブ持ちなことに気付いて「すごいなぁ」と盛り上がり、Sさんも笑っていろいろ話してくれながら、ウィンまでの道程を進んでいきました。今思えば、Sさんは内心ヒヤヒヤものだったでしょう。シャクラミでレベリングするくらい、といえば、まだまだタロンギは少人数で歩くのは危険地帯。まちがってヤグやゴブにでも絡まれたら、まして初心者の私を連れた状態では、助からない可能性の方が高いです。
ですが当時の私は、あのウィンまでの道中で恐い思いをした記憶がありません。Sさんが私をうまく誘導し、敵をたくみに避けて進んでくれたのでしょう。
Sさんが本当にウィンに帰る予定だったのか、それも今にして思うと分かりません。迷子状態の私を安全地帯まで誘導するために、あえてウィンまで一緒に走ってくれたのかもしれません。
何にしても、初PTで、私は今でも覚えているほど優しく頼りがいのある先輩冒険者に出会いました。Sさんとはこの後もう遭遇することはなく、当時はフレンド登録も分かっていなかったのでこれっきりになりましたが、Sさんとの関わりもまた、無意識下で私のヴァナライフに影響していくことになります。

 

私はセカンドキャラのエルではバストゥークからスタート、後にサンドリアに移籍しているから、最終的には3国すべてを所属国に持ったことになります。
「どの国がいちばん思い出深いか」と問われたら、どの国もそれこそ各々とても思い出深く選び難いのですが、それでもあえてといわれたら、「一番最初に降り立ったウィンダス」と答えます。
ファーストジョブ、初PT、初めてウィンダスの門前で召喚獣を見たこと。本当に最初期の思い出が、ウィンダス周辺には詰まっています。
緑と水にあふれた、やたらだだっ広くて、どの国にいくのにも不自由で、過ごすには正直不便の多い国。それでもウィンダスは、私にとって一番優しく、懐かしい街です。