覚書き降り立った頃の思い出

一番最初のログイン、街

私が初めてヴァナに降り立ったときのいちばん強い感情は、わくわくしながらも「恐い」だったことは、はっきりと記憶している。

 

ファーストキャラであるタルタルでは、ウィンダスを所属国に選んだ。「ウィンダス=タルタルの国」という公式設定があったことと、プレイするならタルタルがいいと思っていたからだ。

タルタル、かつシャントットフェイスを選んだ理由は、素直に「可愛いから」だった。それにリアル世界とは程遠い頭身だったことも、ロールプレイングという性質に叶っているように感じたからだ。

ウィンダスに降りたって一番最初のイベントは、泥棒猫だった。何が何やらよく分からないうちにイベントが展開し、チュートリアルにもならないちょっとしたNPCによる案内があった。昔はチュートリアルキャラなんて存在してなかったから、いきなり右も左も分からない中に放り出される感じでスタートした。そういえば始めた当初は「NPC=Non Player Character」という表現すら知らなかったなあ。

当時のFF11は、ゲーム内で基礎知識やら操作方法やらを説明されることがまったく無く、自分で分厚いマニュアルを読み解いて、少しずつそれらを覚えていかなければいけなかった。ゲームを進めながら、出会ったプレイヤーに「これはこうするんだよ」と教えられるようなことも珍しくなかった。

FF11の操作の煩雑さと複雑さ、独特の決まり事は、本当に大量にあったから、今一からこのレベルのゲームを始めろと言われても、まあ無理だと思う。「快適にプレイする為に覚えること」が、とにかくものすごく多かった。ゲームの操作的な部分以外でも、MMOというのはまさしく「生きて変化してゆく世界」だから、ローカルルールやプレイヤー間で発生した独自の決まり事、果ては文化、というものまで歴然と存在した。今思うと、それらはまさに「ヴァーチャルリアリティ」だった。

 

そんな膨大な知識やら何やらは、当然最初からは何も身についていないし、ここはそんな膨大なスケールがある世界だということすら、初めてヴァナに降り立った頃の自分は知らない。

最初にウィンダス港に降り立った私の分身たるタルタルは、自由に動けるようになると、とにかくモグハウスを探してまっしぐらに駆け込んだ。操作方法がまったく分からないこと、チャットすら満足にできない状態で、あたりをうろつくのが恐かったのだ。

そのあたりにいるキャラの「中身」がリアルなプレイヤー、「どこかにいる誰か」であることが、いざ目の前にしてみたら、ちょっと情報を消化しきれないほど、ただただ衝撃的だった。

せめてチャットくらいできるようになってから。と思って、あれこれいじってるうちに、初日のログインは終わってしまった。